同族間・親族間売買の鑑定評価

同族間売買と課税

同族間で時価と乖離して売買すると、
以下のように課税される場合があります。

① 個人間の譲渡
時価より著しく低い価額で取引した場合、
時価との差額分を購入者に贈与したものとみなして、贈与税が課税されます。

② 個人から法人への譲渡
個人:時価の1/2未満で取引した場合、時価で譲渡したものとみなして、
個人に対して譲渡所得課税(所得税・住民税)が行われます。
法人:低額譲渡により譲渡を受けた法人は、時価との差額を受贈益として
課税されます。

③ 法人から個人への譲渡
法人:低額譲渡の場合は、寄付金、役員賞与等となります。
個人:低額譲渡の場合は、一時所得、給与所得等となります。


時価の把握

不動産の時価は以下のように把握することが考えられます。
① 公示価格・基準地価格を補正した土地価格 + 建物簿価
② 相続税路線価÷0.8で査定した土地価格 + 建物簿価
③ 不動産業者の査定額
④ 不動産鑑定評価額

① ②のように、公表資料に基づき時価を把握する場合、
以下の点に留意する必要があります。

土地価格
① 公示価格・基準地価格を補正した価格
近隣の公示価格等が、参考となりうるか検証が必要です。
特に商業地の場合、道一本隔てるだけで
価格水準が全く異なる場合があります。

② 相続税路線価÷0.8で査定した価格
この価格は、時価と乖離することが多々あります。
特に大都市圏の土地価格は、
路線価の2倍以上が時価となる場合も多くなっております。

建物価格
築年が経過している建物の場合、建物簿価が低くなっており、
建物簿価に①②の土地価格を加えた価格は、
低廉な価格になることも多く、注意が必要です。

特に収益物件の場合、収益価格が時価となるため
①②の土地価格+建物価格 < 収益価格 となるケースが多く、
ご自身での査定では、
「客観的に証明可能な時価」の把握が困難です。

次に、不動産のプロに時価評価を依頼する場合は、
③④が考えられます。

③ 不動産業者の査定額
不動産業者によっても査定は可能です。
しかし、公的な証明力を有しておりません。
また、不動産業者は売り物件を確保するために
高めに査定することも多く、査定後には営業されます。

④ 不動産鑑定評価額
例えば収益物件の場合、収益価格が時価となりますが、
不動産鑑定では収益還元法により評価するので、
適切な時価を把握することが可能です。
また、公的な証明力を有しますので、
否認されるリスクは低減されます。

したがいまして、
鑑定評価によって適切な時価を把握することが、
リスクを低減すると考えられます。


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